双六~五郎カール:山高くして谷深し サプライズのあった二日目 

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二日目、穏やかな朝を迎えた双六谷。
気温は、この季節にして居座っている寒気のお陰でスペシャル寒い。
小屋の中とはいえ、シュラフの口元は吐く息で凍っていた。

それでも小窓から差し込む朝の光に誘われて勇気を出し、シュラフから出て外の空気を吸い込んだ。

北を見れば、凛とした朝の張り詰めた空気の中で鷲羽岳が茜色に染まり始めた。

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保護色でわかりにくく、うっかり踏みつけそうになったが、足元には雷鳥の雛四羽が岩陰でうずくまる様に寒さをしのいでいた。(写真は彼らもそれに驚いて少し我輩から離れたところ=でも1m 以内)

一羽一羽がそれぞれ身の丈にあった岩や小石の陰でうずくまって朝を迎えているのだから、雷鳥たちにとってもこの寒気は厳しかったのだろう。

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時間が経つにつれ、丸山(左)と三俣蓮華岳が紅さを増していく。
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燕岳方面からご来光。

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双六岳と双六小屋。

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抜戸岳、笠ケ岳も少しずつ紅くなっていく。

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日の出から約一時間。

昇りきった太陽が山容を眩しく照らし出す。

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そろそろ出発の準備をしなければ・・・・・・・

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小屋に戻り、持参した荷物を整理パッキング。
行動用の飲料水は夜のうちに作っておいた。
500ml+500ml。

この水をザックに入れたとたん重さがぐっと増した。

寒気のお陰で雪は雪というよりガチガチの氷・・・・・・・・

6:50 am 出発。

三俣蓮華か・・・・・それとも黒部五郎か・・・・・・
まだこの時点では決めかねていた。

シールをセットしたものの、双六岳の最初の斜面を乗り上げたところで諦めた・・・・・・・
このガチガチの氷では危険この上ない。
重いのを覚悟でスプリットボードは背負い、アイゼンにて登攀を続ける。

振り返ると樅沢の稜線越しに穂高連峰が見えてきた。

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樅沢岳の向こうには槍ヶ岳がやっと頭を覗かせた。

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右手に鷲羽岳。

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こちらは2007年の夏に撮影したもの。
ほぼ同じ場所から。

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後ろに槍ヶ岳もほぼ全容が見えてきた。

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荷物はかなり重い。
足元は未だにガリガリのアイスバーン。
一向に緩む気配が無い。

双六岳山頂を通過するのはやめてトラバースで丸山を目指す。

左手に一昨年の夏歩いた黒部五郎岳が見えてきた。

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薬師岳も見える。

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小屋からここまで約2時間。
丸山の南斜面を登り上げる。

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丸山トップから振り返る。

槍ヶ岳も遠くなった。
右端は双六岳。

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3時間。
三俣蓮華岳。

黒部五郎から来たスキーヤー二人に出会った。
このまま槍ヶ岳を目指すとのこと・・・・・・

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雪が緩んでいればここから(三俣蓮華岳山頂)三俣山荘まで滑り、弥助沢へドロップしたいところだが、このアイスバーンが俺を黒部五郎へ向かわせる決断をさせた。

山頂から鷲羽岳と三俣山荘を見下ろす。

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小屋はまだだいぶ雪に埋まっている。

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雪はこの時間になってもまったく緩む気配無し。

20kg を越える荷を背負ってこのガチガチのアイスバーンを滑るのは有難くない・・・
稜線をスプリットを背負ったまま黒部五郎へ向かった。

黒部五郎小舎が見える稜線まで下り、ここから小舎までは板をずらしながら滑り降りた。

一時間強で黒部五郎小舎着。

小屋にはここに二週間ほど滞在するという黒部の主とも言えるMさんが寛いでいた。
荷物を小屋に置き、最小限度のものだけをザックに入れ、ようやく緩み始めた黒部五郎のカールを滑るべく登攀の準備をしているとカールから二人のスキーヤーが滑り降りてきた。

顔を見合わせたその瞬間・・・・・・・・
あの感動は今でも忘れない。
食い入るように見たその顔は「常吉」さんではないか!!

下界ならいざしらず・・・・・・・
こんな奥深い山の中で知人に会えるなんて・・・・・
熱いものがこみ上げてくる瞬間だった。

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話したいことは山ほどある・・・・・・・
が、それは滑り降りてからの楽しみとしよう。
我輩は、お二人さんと別れて黒部五郎を目指した。

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広いカール、歩いても歩いてもなかなか景色が変わらない。

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ほぼ同じ場所から夏の景色。

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少しずつ雪に埋まった小屋が遠くなる。

左側の尖がり屋根が冬季小屋。

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ここにきてようやく雪が緩み始めた黒部五郎カール。

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この奇岩だけは冬の間も埋まらないようだ。

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さらに稜線を目指そうと思っていた頃、稜線から黒い雲が流れてくる・・・・・・・・・・・

さっきまで緩んでいた雪がみるみるアイシーになっていくではないか。

稜線を諦め、凍りきらないうちに滑走の準備にはいることにした。
念のために固形ワックスをソールに塗り、一路小屋を目指して滑った。

小屋では主のMさん、常吉さん、常吉さんの相方M平さんが寛いでいた。
TVも電灯も何も無いこの山奥の静かな冬季小屋での一番の楽しみは質素な食事だけだ。
クッカーが汚れないうちに、まずは明日の行動用の飲料水を作る。

夕食を済ませ、外に出てみると怪しい雲が一帯を覆っていた。

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ちなみに小屋はこんな感じで、ほとんど雪に埋もれている。
雪の中から突き出した屋根がこのあたりの積雪の多さを物語っている。
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夏の山小屋はこんな感じ・・・・・・・・

写真の白い線から下が雪の中なのである。
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こんな山奥で再会した常吉さんたちと話に花を咲かせ、明日に備えて早めの就寝。
黒部五郎の夜が更けていった。

by sakusaku_fukafuka | 2013-05-08 21:05 | 2013 雪山三昧・春 | Comments(8)

Commented by utinopetika2 at 2013-05-08 22:56
この時期、黒部五郎岳まで登られる人は、山好きでもほんの一握りの人だけでしょう。
しかもソロ。
自分には到底できない事、とても感心します。
最近体力の低下が気になっていますがsakusaku_fukafukaは凄いですね。
私より先輩で、技術、体力、行動力も持ち合わせてらっしゃる。
いつかお会いしてみたいです。
Commented by sho-m1228 at 2013-05-08 22:59
写真がどれも綺麗です。
特に、朝の写真が素晴らしいです。
常さまと会ったのですね。
嬉しい出来事ですよね。
続きも楽しみです。
Commented by sakusaku_fukafuka at 2013-05-09 21:40
♣ utinopetika2 さん、コメントありがとうございます。
今年は恒例だった槍ヶ岳をやろうか、この双六エリアをやろうか思案したのですが、やはりこの静かなエリアを歩きたくてこちらにしました。
新穂高温泉から双六岳へ向かうには難所があります。
営業小屋も無く、食料、寝具は全て自分で運び上げなければならない分「槍・穂高」エリアとは比べ物にならないくらい人が少ないです。
黒部五郎岳は天候悪化で山頂を踏むことは適いませんでしたが、そこに居ることに幸福感を感じる静かな山行を楽しめました。
体力・・・・・・・・
落ちました。Soloの良いところは人のペースに合わせる必要が無いことでしょう。
それだからこそ今回の山行も実行できたのだと思います。
Commented by sakusaku_fukafuka at 2013-05-09 21:47
♣ shoさん、コメントありがとうございます。
>写真がどれも・・・・・・・・
ありがとうございます。
今回はハードな山行で疲労が激しく、深夜早朝の写真撮影は気が重いくらいでした。
でも、やっとシュラフから抜け出し何枚か撮影できました。
でも sho さんのセンスには及びません^^;

常吉さんと黒部五郎での再会は今季最大のサプライズでした。
まさかあんな山の奥で知人に会おうとは・・・
何と表現してよいのかわからないくらい感動的な再会でした。
大好きな黒部五郎だったから尚更だったのかもしれませんね~。
Commented by 常吉 at 2013-05-10 06:49 x
ボードでは入り辛いこの山域にまさかsakusaku_fukafukaさんがいらっしゃるとは思ってもいなかっただけに、今回の偶然の出会いは本当に感動的でした。あの出会いの1時間前、五郎カールのドロップでガスの晴れ待ちをしている間、sakusaku_fukafukaさんのいつもの姿を思い出していたんですよ。それだけに一層嬉しい出会いでした。夜もいろいろとお話ができ、大袈裟かもしれませんが夢がかなった思いです。

翌朝はあの重荷を背負っていながら、ズブズブと潜るモナカ雪を歩く速さを見て驚きました。ずっと軽量でスキーを履いている私と変わりませんでしたね。私ももっともっと体力を付けなきゃと反省です。

そろそろシーズン終了ですね。これからはきれいな花の写真や緑の山の写真を楽しみにしております。

またお会いできる日を!

Commented by sakusaku_fukafuka at 2013-05-11 01:17
♣ 常吉さん、コメントありがとうございます。
寒気のお陰で毎日寒かったですが、黒部五郎では特別熱い思いをしました。
打ち合わせもしないで、あの奥山で偶然知っている人に出会えるなんて本当に感動です。
黒部の小屋でダブルMさんを加えて話しに花が咲きましたね~
貴重な思い出となりました。

体力はやっぱり落ちましたよ~~
十数歩歩いては上を見て休む・・・・・・また十数歩歩いては先を見る・・・
こんな感じですからすぐに常吉さんご一行にも追いつかれました。

またの再会を楽しみにしております。
今度はどこで出会うでしょう・・・
Commented by mountainshark at 2013-05-11 22:29
常吉さんから下山後、早期に連絡がありました。
毎年この時期は
「風にやられていないかなあ。身動きがとれないほど荒れて神経をすり減らして疲弊しきっていないかなあ」
などと常吉さんを心配しながら個人的な単発の課題に挑んでいるのですが、まさかこんな山奥でこのようなドラマがあったとは!
驚きました。
又、冬季小屋での一夜の輪の中に、私も交ぜていただきたい思いです。
M平さん、かなり面白いどすよね?!
自分のレベルを鼻にかけず、フラットに接して下さる素敵な方です。
いやー素晴らしい!!
神様はいるのかもしれませんね。
Commented by sakusaku_fukafuka at 2013-05-12 07:38
♣ mountainshark さん、コメントありがとうございます。
不思議な偶然てあるもんなんですね~~。
場所が 場所だけに驚きと感動が入り混じってました。
あのまま三俣蓮華から弥助沢へドロップしていたらニアミスしているのも知らないで山行を終えていたかもしれません。
三俣蓮華からの斜面がアイシーだったために黒部五郎へ向かいましたが、それが会うか会えないかの境界だったような気がします。
奥山、アプローチは大変ですが滑りは置いておいても素晴らしい景色でした。
Mさんもとても面白い人でしたよ。
お陰で冬季小屋もにぎやかでした。