『オジカ沢の頭』から見る久しぶりの赤谷川源流の景色。
ただ、赤谷川源流はスノーボード向きではない。
どちらかというとスキーヤー向きだし、過去に一度滑っているので滑る気にはならないが、眺める景色は美しい。
(画像をクリックで拡大します)

オジカ沢の頭からちょっと下ると避難小屋ある。
無理をすれば5 人くらいはなんとかなるか・・・


西を俯瞰すると大障子避難小屋が確認できる。


自分撮り^^:

山頂から避難小屋のちょっと下まではガッチガチのシュカブラだらけでとても滑れたものではない。
場所を選んで鞍部まで少し滑り、板を脱いでエントリーポイントまで坪足で登る。
エントリーポイントからフォールラインを覗き見したかったが、雪庇が邪魔をして覗けない。
両手でカメラを突き出してファインダーを覗かないで撮影してみた。
いい斜面だ、が・・・・・・・・・
雪庇が発達していてここからはドロップインできない。
少し北側に移動してみる。

エントリーポイントからいつもこっちを見ていた肩の小屋方面を望む。

西の景色。
オジカ沢の頭から見たのとはちょっと違って新鮮だ。


だが・・・・・
悠長に景色を楽しんでいるゆとりは無いことを思い出し、移動したドロップポイントから下部を確認。
ストックのグリップで雪面を叩いてみるとなんと、アイスバーンだ^^;
まさか、ここまでガチガチだとは思わなかった・・・・・・
いささか計算外。
さっきのところは雪庇だし、ドロップするとしたらここしかないよな~~・・・・・
リフト下り場からスマホの傾斜角を測るAndroid 用のアプリで計測してみたらメインシュートは約57.2度だった。
雪が柔らかかったら何の問題も無いんだけどね~~
でも、この滑り出しはそれ以上あるよね~
実際ここに立ってみると絶壁に見えるもん。
傾斜がありすぎてバックパックが引っ掛かるからバックサイドでは滑りだせないし・・・
クライムターンでフロントサイドのエッジをアイスバーンにかろうじて食い込ませ、フォールラインの真上までは横移動しようか、と思ったときに見えなかったクラックに板の中心からトップまでがハマった。
ヤべ~~
ここで滑落したら下は岩だもんね・・・・・・
でも、もう上に這い上がれねぇしなぁ・・・
行くっきゃないでしょ。
幸いクラックは浅かったので何とかトップを持ち上げることが出来た。
そのまま一気にフォールライン真上まで滑った!
アイスバーンの上でフロントサイドからバックサイドにターンしたときエッジが滑って一度尻餅ついたけど、幸いその下からは嘘のような新雪。
デンジャラスゾーンを抜けたら57.2度の新雪バーンは天国のようだった。

ボトムから見上げる自己満足至福滑降ライン

もっと下まで滑りたいのは山々だが、ここから稜線までの登り返しにどれくらいかかるかまったくわからない。
メインシュートは滑ることができたので、欲をかかずにここから登り返すことにした。
俎嵓山稜の稜線に太陽がどんどん近づいていく。
俎嵓の陰に飲み込まれたら登り返しの斜面もアイスバーンになるかもしれない。
とにかく急ぎ稜線を目指す。

登り返しはスプリットで、と思ってスプリットで来たのだが、とてもシールで登れる傾斜ではない。
見上げると稜線は遥か彼方・・・・・・・・・・・
シューでも時折後ろに滑り落ちてしまう・・・・・・・

肩の小屋方面を望む。
ん?・・・・・・・・・・・
ガス?・・・・・・・・・・・

何度見上げても稜線はまだ遥か彼方・・・・・・・・・・
ガスだけは勘弁してよね~~

ザックを置いて飲み物を出したいが、物を置ける傾斜ではない・・・
表面の氷をグローブで掬い取り、ノドを潤す。
振り返ると俎嵓山稜の稜線にもガスが迫っている。

歩いても歩いても稜線は遠し・・・・・・・・・・・
背負った板とバックパックの重みが肩にこたえる。

休憩をしながらカメラを出す。
俎嵓。

徐々にガスも下ってきた・・・・・・・
そろそろ霧中に入る・・・・・・・・
でも、なんとかここまで登ってきた・・・・・

クラック見っけ・・・・・・・・・・・
深さ何mあるだろう?
ここ、こんなのが至る所にあります。

この傾斜ですからね・・・・・・
ここでこんなところに落ちたら体力消耗しちゃうね。

クラック帯を通過、何とか稜線に辿り着いたときは嬉しくなった。
心配したガスも、太陽のお陰で思ったより明るい。
これなら自分の歩いた跡を辿ることができる。
よもや落ちることもあるまい・・・・・・
と、安心したら未だに何も腹に入れてないことに気づいた。
緊張の連続は腹の空いた感覚も麻痺させるのか、思い出した反動でパン二個をたいらげた。

腹を満たしてものんびりはしていられない。
まだ肩の小屋までの最後の登りが待っている。
慎重に往路に付けた自分の踏み跡を辿る。
ガスっていてもエビの尻尾が美しい。

見えました! 肩の小屋。
ガスの中に現れた肩の小屋を見て「もうこれ以上登らなくていいんだ」という安堵感で満たされた。

肩の小屋に着いたとたん、緞帳が上がった舞台のようにガスが抜けた。
俎嵓山稜を振り返る。

今、午後3時48分。
もう稜線には誰の人影も無い。
滝雲が稜線からあふれ出し、静かに太陽が西に傾いていくだけだ。

肩の広場には何本ものシュプールが描かれていた。
今日一日太陽が降り注いだお陰?で、雪面はすでに「モナカ雪」であった。

同じ場所から北を見ると白毛門から巻機山まで見渡せた。

もう一度振り返ると、トマノ耳から平標山まで稜線のダムができている。
自然て美しい。

何とかベースプラザが閉まるまでには下山できそうだ。
残照の西黒尾根が美しい。

いざ滑り出すとすごいモナカ・・・・・・・・・
なんせ、思うようにターンできないのだ。
曲がろうと思っても曲がれない・・・・・・ハード山行の疲れも相まってトップを持ち上げてもモナカの中に板のトップが埋もれていく・・・・・・
今シーズン初のモナカ雪だ。
笑が出てしまうくらい幾度も転倒。
でも、安全にここまで戻れたことで、ま~~ったく気にならない。
今日の最後のご褒美は我輩が最も好きなこの場所の美しい景色を見れたことかな。
無事戻れたことと、美しい景色を見せてくれたことへの感謝の念を抱きつつ車に戻った。

帰路、黄昏時の谷川岳を振り返る。
こうして眺めると、あの距離を往復したのか、と感慨が沸いてくる。
何よりも無事下山できたことに感謝して長かった一日を終える。


▲ by sakusaku_fukafuka | 2014-02-27 22:07 | 2014 雪山三昧・中期 | Comments(16)